こんにちは
もう10数年前にピークを過ぎた感のある、過払い金返還請求ですが、未だにCMでは盛んに流れてますね。
自分に返還請求の権利があって、気づいていない方も確かにおられると思います。
過払い金返還請求には、完済後10年以内という時効があります。
2010年以前に消費者金融などで借入・返済を繰り返していた覚えのある方は、一度自分の借り入れ履歴を確認してみましょう。
もし自分に過払い金がある事がわかったら、多くの方は司法書士や弁護士に相談されることと思いますが、実は自分でもできるんです。
過払い金返還請求は、条件にもよりますが、そんなに難しい事ではありません。
実際法律にさほど詳しくない私でも、6件の訴訟を起こし
希望の80%くらいには返還してもらえました。
司法書士や弁護士に依頼すると、返還金額の20~30%は手数料として取られます。
私の場合、かかった費用は多くて3万円まででした。訴訟金額にもよりますが、100万円の返還で1万円ほど*注が目安です。
*注 訴訟費用の他に、裁判所が送る郵便物の切手代が5~6千円ほど掛かります。
▼訴訟費用の目安
100万円の訴訟で弁護士に20万円払うか、2万円で自力でトライしてみる
か、選択は自由ですがどちらにしてもメリット・デメリットはあります。
そこで、少しでも多く過払い金の返還を受けたいとお考えの方へ、自力で訴訟を起こす
手順についてお話しします。
今回は、訴訟までの準備として、取引履歴の取得から過払い金返還請求通知書の送付までを説明します。
訴訟までの準備
始めに、過払い金返還訴訟の大まかな流れを書いておきます。
大まかな流れは以上です。
私の経験から言いますと、6件の争いの中で、通知書を送った段階での
和解は、1件でした。裁判も4件は第一回で和解し第二回まで行ったのは
1件で、判決まで至ったことは有りませんでした。
取引履歴を用意する
まずは、利用している貸金業者から、取引履歴を取り寄せましょう。
最高裁判所第三小法廷平成17年7月19日判決により、貸金業者は利用者から依頼があった場合、取引履歴の開示が義務付けられました。
たいてい、利用している貸金業者のサイトに飛べば、取引履歴の取り寄せ方などの案内が見つかります。
代表的な消費者金融の取引履歴開示請求に関しては、以下のリンクから参照できます。
開示の手続は貸金業者によって異なります。コールセンターに電話し本人確認後郵送してくれたり、支店窓口へ行けばすぐに交付してくれたり、所定の開示請求書への記載を求められる場合もあります。
また、利用目的を聞かれることがありますが、単に「取引内容を確認したい」と答えれば大丈夫です。
開示手数料は無料のところがほとんどです。
10数年前は、切手(郵送料)400円くらい必要な場合もありました。
▼過払い金の相談はこちら
アヴァンス法務事務所引き直し計算
取引履歴が用意できたら、過払い金があるかどうか、引き直し計算をします。
引き直し計算とは、貸金業者とあなたとの間で行われた貸付けや返済などの取引について、利息制限法の制限利率(上限20%)に直し、利息制限法に従って支払っていた場合の借金の残高を再計算するというものです。
引き直し計算の結果、最終的に借入残高がマイナス表示になれば、過払い
金が発生していることになります。
引き直し計算には、無料で使えるソフトがたくさんあります。
上記は以前から有名なソフトです。無料ですが、Excelが必要です。
利息計算ソフトの使い方は、後程別記事で紹介しますね。
▼利息計算ソフトの使い方はこちら
計算自体はさほど難しくないんですが、慣れないと結構時間がかかり面倒です。
面倒なら、引き直し計算代行サービスを利用するのも手ですね。
過払い金返還請求通知書
引き直し計算をして、過払い金のある事が確認できたら、貸金業者へ
「過払い金返還請求通知書」
を送ります。
▼過払い金返還請求通知書の例
過払い金返還請求通知書
私(会員番号○○○○ 氏名 ○○○○)は貴社との継続的金銭消費貸借契約につ
いて以下の通り通知、請求いたします。
まずは、取引履歴の開示にご協力いただきありがとうございました。
貴社より開示して頂いた取引履歴明細書を基に、利息制限法による引き直し計算を
行った結果、民法404条に基づく過払い金利息5%をあわせて、過払い金金○○○
円が発生していることが判明しました、
つきましては、上記過払い金を、本書面到達後14日以内に、私名義の下記口座ま
で振り込んでお支払いください。
また、過払い金が発生した時点において、貴社への債務は消滅しているため、「債
務整理」には該当しません。よって、情報機関への私に不利益となる登録は無用に願
います。
上記期間内にお支払いなき場合には、民事訴訟を提起いたします、なお民事訴訟に
至った場合には、上記過払い金に加えて、遅延利息、訴訟費用、弁護士費用等も併せ
て請求し、一切減額には応じられませんので、その旨予め申し添えます。
請求金額 ○○○○円(○○月○○日現在)
内訳 元金○○○○円
利息金○○○○円(年利5%による)
振込先
○○○○銀行○○支店
普通 ○○○○
口座名義人 ○○○○
令和○○年○○月○○日
〒○○○ー○○○○
住所(本人住所を記入)
氏名
℡ ○○○ー○○○○ー○○○○
〒○○○ー○○○○
住所(貸金業者の住所)
○○○株式会社
過払い金返還担当部署 御中
だいたい以上のような書き方でいいと思います。
郵送は内容証明郵便が確実ではありますが、費用もかかり手続きも結構面倒なので、普通郵便でいいです。
私が普通郵便で通知書を送った貸金業者6社から、連絡
が入らなかったのは1社もありませんでした。
通知書を送ると、貸金業者から(ほとんど2週間以内には)連絡がきます。
連絡は、電話によるものと書面によるものと、業者によって
違います。
この段階で、貸金業者から様々な条件で和解案が提示されることが
あります。ただし、あなたにとっては不利な条件がほとんどです。
ここであなたが納得できる条件を提示されることはほぼありません。なので余程でない限り和解には結び付かないと考えた方がいいでしょう。
過払い金の金額が数万円しかなかった1社のみ通知書
発送後、数千円の減額で和解となり、残りの5社は
訴訟となりました。
通知書に対する業者の解答
過払い金返還請求通知書に対する、貸金業者の解答も様々でした。
貸金業者の対応例を紹介しますと、
L社「通知書の金額から千円以下減額での和解を希望します。」
A社「請求額の半額で和解を希望します。」
P社「ゼロ和解を希望、それ以外なら訴訟してください。」
この会社の対応が一番ひどかった。明らかにこちらをなめたような
対応でした。おかげでますます闘志に火が付きましたけど。
AC社は書面にて返信があり、「ゼロ和解」するので、サインしろとの内容。
などでした。
以上のように、過払い金返還請求通知書を送るだけでは、まずあなたの満足できる回答
を得られることはないと覚悟しておいてください。
またここで、安易に貸金業者の要望に「YES」と答えないこと。不利な書面には絶対サインしないでください。
貸金業者はあなたの足元を見ています、「訴訟までしないだろう。」と。
過払い金返還請求通知書を送る意義は、和解を求めることではなく、あなたに訴訟する確固たる覚悟があることを貸金業者に知らしめることです。
まとめ
今回は、過払い金返還請求通知書の送付までを説明しました。
あとは、いよいよ裁判に向かうわけですが、前述したように貸金業者とは戦い抜く強い
意思をもって望んでください。
通知書に対する貸金業者の回答は、ほとんどがあなたにとって不利なものです。
ここで「まあいいか、訴訟も面倒だし。」
などとゆめゆめ思はないでください。それこそ相手方の思うつぼです。
貸金業者が電話の後舌を出して笑ってる様子が目に浮かびます。
過払い金返還訴訟は勝てる裁判です。
ただし、あなたもそれなりの準備と覚悟をもって望んでください。
今回は以上です。
それでは
▼自分で過払い金返還訴訟をする際読んでおくべき書籍を紹介しておきますので、良ければ参考にしてください。
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